1950 De Mario
ブラックパールブローチ

detail: De Mario ブラックパールブローチ

1950年代製。
デ•マリオは、1945年にニューヨークでロバート•デ•マリオによって創業されたブランド。
ビーズやラインストーンのカットの美しさ、
芸術作品といえるデリケートで唯一無二のデザインが特徴です。

1940年代にミリアム•ハスケルの元で働いており、接着剤を使わず、
すべてハンドメイドでワイヤー留めをして作品を作り上げるという手法を受け継いでいる。
この確かな職人技と、デザインで彼の作品への評価は極めて高いのです。

しかも、ブランドが成功していたにも関わらず、デ•マリオは1960年に突如引退し、
フロリダに隠居してしまう。
活動期間がたった20年未満と短く、彼の作品を手放すコレクターも少ないため、
価格は高騰しており、コスチュームジュエリーブランドの中でも希少価値が高いことで知られている。

希少価値でいったら、ミリアム•ハスケルのジュエリーよりもずっとずっと高いのです。
私がデマリオの作品に出会ったのは、あるジュエリーディーラーから。
彼女との出会いは、ロンドンのとあるヴィンテージフェアでした。

それまでも何百人ものディーラーに出会ってきたのですが、彼女のストール(お店)は輝いていました。
ディーラーとしての経験から来る誇りと、
卓越したセンスで選び抜かれた30点ほどのジュエリーが並んでいました。
ストールという形式のお店としては、30点という商品量は多くなく、むしろ少ないほう。
それでも、私は足を止めずにはいられなかったのです。

彼女の専門は、デザイナーものを中心としたヴィンテージコスチュームジュエリー。
クオリティも、レア度も一流のジュエリーばかり。

すべて買い占めたい…

1点2点、抜群にいいものをもつディーラーはいても、
すべて買い占めたい…と思うジュエリーをもつディーラーは、100人に1人もいない。のが事実。

彼女の商品は、そのくらい群を抜いて素晴らしいのです。

彼女のジュエリーを見るだけで、幸せな気持ちになり、バイヤーとして勉強になります。
これからも私が仕事をしていく限り、彼女から買い付けをし、教わることは計り知れないのです。

こういったジュエリーとの出会いが、まるで中毒のように私をジュエリーの世界へ引き込み、
ジュエリーの持つ力を感じずにはいられないのです。


私の感覚では、
デ•マリオは大きく分けて、
淡い色合いの愛らしい作品…そして、強さも秘めたクールな作品の2種類を制作していました。
愛らしい作品のイメージの方がどちらかと言えば強いのですが、
彼のクールな作品もまた、
デザインが素晴らしいのです。
ただ強いだけではなく、デ•マリオらしいデリケートさも合わせ持っています。
そのバランス感覚が、私がデ•マリオを探し続ける理由の一つです。

こちらの作品は、
複雑なパーツの配置、色の組み合わせ、デザイン…
全てにおいて、デ•マリオ作品の中でも、
とてもクオリティの高い美しい作品です。
ハスケルとは、また違った世界観を確立しています。
やはり、彼はジュエリーの天才だったのだと改めて感じました。
No B219
Size 直径6cm