detail: Roger Jean Pierre プランツブローチ

1950年代
1934年にスキャパレリのジュエリーデザイナーとして、
キャリアをスタートさせたジャンピエール。
この時にデザインされた多くのジュエリーが、
世界有数の美術館である、ニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されています。

第二次世界大戦後、クリスチャンディール、バレンシアガ、バルマンのためにジュエリーデザインをし、
フランスのコスチュームジュエリーデザイナーとして、トップに君臨します。
彼が得意としたのはグラマラスなデザインで、フランス製のガラスコーティングされた、
まるで本物のようなパール、美しいカラーガラスを使い、ジュエリーを作り上げました。
彼が残した作品は多くのジュエリー本に掲載され、
ヴィンテージジュエリー界では伝説のデザイナーの一人となっています。

はじめて彼の作品を目にしたのは、ジュエリーバイヤーになって、
数年後のことでした。
その時の衝撃は忘れません。
一度目にしたら忘れないほどの強い存在感と、自信に満ち溢れた絶対的な美しさ。
ヴィンテージジュエリーに見慣れた私でも、彼の作品に感動しました。
そして、ジャンピエールがなぜ、ディオールやバレンシアガに抜擢されたのかは、
彼の作品を見れば、一目瞭然でした。

コスチュームジュエリーというのは、素材という観点でいえばフェイクです。
金やエメラルドを使っているわけではありません。
しかし、なぜこれほどまでにコスチュームジュエリー文化が発達したかと言えば、
ハイジュエリーではできないデザイン、大胆な世界観を表現でき、
そこに全てを注いだ偉大なデザイナーたちがいたからです。
ジャンピエールも、間違いなくその一人です。

こちらのブローチは、彼が得意とし、彼の作品の特徴であるストーンセッテイングで
制作されています。
どの角度から見ても、完璧に美しく、グリーンのガラスの魅力を最大限まで感じます。
ゴージャスでありながら、どこか可憐さも感じる彼の真骨頂とも言える作品です。

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